2017 年 78 巻 1 号 p. 89-92
症例は86歳の女性.貧血・腹満のため当院を紹介受診した.精査を行い,結腸癌A circ cType2 cT4aN3M0 cStage IIIbと診断された.根治手術を勧めるも本人は手術を希望されず,大腸ステント(22×60mm WallflexTM Colonic Stent)を挿入した.12カ月後の腹部単純X線写真でステントの左下腹部への逸脱を認めた.ステント再挿入の方針とし,下部消化管内視鏡検査を施行したところ,SD junction部に逸脱したステントを認めた.ステントの口側縁の粘膜が炎症により狭窄を伴う著明な浮腫をきたしており,内視鏡の通過が不能であった.腫瘍による腸閉塞およびステント部の穿孔などのリスクを考慮し,回腸双孔式人工肛門造設術を施行した.