日本臨床外科学会雑誌
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症例
繰り返す直腸脱が誘因と考えられた経肛門的小腸脱出を伴う直腸穿孔の1例
正見 勇太松井 俊樹勝田 浩司春木 祐司谷口 健太郎下村 誠
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2017 年 78 巻 11 号 p. 2486-2491

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抄録

症例は93歳,女性.当院入院の14カ月前に,他院にて経肛門的に直腸脱根治術が施行されたが再発し,9カ月前に腹腔鏡下直腸後方固定術を施行された.しかし,1カ月前より直腸脱が再々発し,手術予定であった.今回,排便時に怒責した際に肛門から腸管の脱出を認め,当院へ救急搬送となった.来院時,直腸脱と約1mの小腸の脱出を認めた.直腸穿孔に伴う小腸脱出を疑い,緊急手術を施行した.開腹すると直腸前壁に25mm大の穿孔を認め,同部位に小腸が嵌入していた.腹腔内の汚染はほぼ認めなかった.直腸前壁の穿孔部は吸収糸を用いて穿孔部単純縫合閉鎖を行った.脱出していた小腸は血流障害を認めたため,約100cm切除した.直腸縫合閉鎖部の縫合不全のリスクを考慮し,双孔式S状結腸瘻を造設して手術を終了した.術後合併症を認めず,20日目に退院したが,術後2カ月頃より直腸脱の再発が出現するようになり,術後7カ月目に腹会陰式直腸切断術を施行した.

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© 2017 日本臨床外科学会
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