抄録
肝癌診療ガイドラインでは「待機的肝切除において腹腔ドレーンは必ずしも必要としない」とされているが,本邦では肝切除後腹腔ドレーン非留置は必ずしも普及していない.当科では,胆管空腸吻合を伴わない肝切除においては,術後腹腔ドレーンを非留置としている.今回,腹腔ドレーンを留置しなかった肝切除症例270例の術後合併症を検討し,ドレーン非留置の妥当性について検討した.Clavien-Dindo分類grade II以上の合併症は270例中24例(8.9%)に認められた.その内訳は,胸腹水6例,腹腔内膿瘍,呼吸・循環,イレウス,創感染はいずれも3例,胆汁漏2例,肝不全1例であった.これらのうち,術後に腹腔ドレーンを挿入した症例は7例(2.6%)であった.このようなドレーン非留置症例の合併症発生率は,既存の報告と比較して劣るものではなかったことから,ドレーン非留置は容認される方法であると考えられた.