2017 年 78 巻 3 号 p. 434-441
目的:遺伝子組み換えトロンボモジュリン(以下,rTM)は消化管穿孔による敗血症性DICの治療薬として合理的な薬理作用を有しているが,腹部緊急手術後の使用報告はまだ少ない.そこで,下部消化管穿孔術後の敗血症性DICに対する本剤の有効性を検証した.
対象・方法:2011年5月~2016年7月までに手術を行った下部消化管穿孔症例のうち,術後にDIC scoreが4点以上だった21例を対象とし,rTMの有効性の検討を行った.rTM群が15例,非rTM群が6例である.
結果:DIC離脱率はrTM群で有意に改善した.rTM群ではDIC score,SOFA scoreともに5日目で改善しており,非rTM群と比較し改善が速やかだった.
結語:下部消化管穿孔術後に発症した敗血症性DICに対し,rTMは治療戦略として有効である可能性が示唆された.