抄録
高齢者の急性膿胸に対する線維素溶解療法の報告は少数であり,その治療効果は明らかではない.平成23年以降に当院で線維素溶解療法を受けた75歳以上の急性膿胸10例について,後ろ向きに検討を行った.男性8例,女性2例であり,年齢の中央値は84歳であった.全例で何らかの既往疾患を有し,6例はperformance status(PS)が3以上であった.9例で膿胸の治癒が得られ,重篤な有害事象は認めなかった.治療後のドレーン留置期間と入院期間の中央値はそれぞれ6日と29日であった.PS良好群(PS0-2)とPS不良群(PS3-4)に分けた検討では,PS良好群の方が有意にドレーン留置期間(p=0.018)と入院期間(P=0.019)が短縮していた.高齢者の急性膿胸に対し線維素溶解療法は重篤な合併症も無く安全な治療といえる.治療効果も概ね良好であったが,PS不良な症例ではその効果が限定される可能性もある.