抄録
症例は50歳台,女性.血便と体重減少を認め,当院受診.下部消化管内視鏡検査で直腸癌を認めCTで仙骨浸潤(S4以下)・側方リンパ節腫大を認めた.根治術は困難と考え,化学放射線療法(以下CRT)を行い,治癒切除を試みる方針とした.局所への放射線療法(4,500cGy/25回)とTS-1 100mg/dayを2投1休で2クール施行した.CRT終了約1カ月後のCTで腫瘍は縮小し,CRT終了約2カ月後に腹仙骨式直腸切断術・仙骨合併切除術を施行した.病理組織では高分化腺癌・粘液癌が少量残存していたが,大半は瘢痕による線維化であり,組織学的CRT効果はGrade2で剥離断端も陰性であった.治癒切除が困難な仙骨浸潤を有する進行直腸癌に対する術前CRTは,腫瘍縮小,down staging,根治切除率の向上,局所再発制御,周囲臓器の機能温存等の点から有用であり,選択すべき治療オプションの一つとなり得る.