抄録
明細胞腺癌は淡明な細胞質を持つ腫瘍細胞の増殖が特徴で,大腸ではまれに腸管子宮内膜から発生するが,大腸原発の明細胞腺癌は極めてまれである.症例は62歳の女性で,腹痛・発熱・高い炎症反応のため当科を紹介受診した.造影CT検査で子宮や左卵巣,左尿管を巻き込んだ巨大なS状結腸腫瘍を認め,膿瘍形成が疑われたため抗菌薬治療後にすべてを一塊として切除した.腫瘍細胞は病理組織学的に淡明な細胞質を持ち,免疫組織化学染色でCK20・CDX2が陽性,CK7・CD10が一部陽性,ER・PgR・NapsinAは陰性であり,画像上も他臓器癌を認めなかったことから大腸原発明細胞腺癌と診断した.術後経過は良好で,術後1年経過した現在も無再発生存中である.本腫瘍の手術例は本例を含め20例の報告にすぎず,悪性度が高く外科的完全切除が最も有効な治療法であることが示唆された.本腫瘍の臨床的特徴などを踏まえて報告する.