日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃癌肝転移との鑑別に苦慮した肝reactive lymphoid hyperplasiaの1例
橋本 将志松本 祐介浜野 郁美遠藤 芳克甲斐 恭平佐藤 四三堀田 真智子
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2017 年 78 巻 5 号 p. 1060-1067

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抄録

症例は41歳,女性.心窩部痛を主訴に近医を受診し,上部消化管内視鏡検査を行ったところ胃角部に胃癌を指摘された.精査の結果,肝に5-15mm大の肝腫瘤を複数指摘された.肝腫瘤は腹部CTや造影MRIで周囲の造影効果が淡く,また超音波でも典型的な転移性肝癌の所見とは判断できなかった.サイズが小さいという点を考えても,画像だけで胃癌肝転移の確定診断に至らないと判断し針生検行った.生検の結果ではリンパ球の集簇という結果となり,肝reactive lymphoid hyperplasia(以下,肝RLH)を強く疑い,原発巣切除と診断的肝部分切除を行った.切除後の病理所見で胃癌と肝RLHと診断された.現在術後1年無再発生存中である.肝RLHは診断が難しく,特に悪性疾患との併存の場合は画像所見だけで転移性肝癌と鑑別することは難しい.今回,生検をきっかけにして胃癌に併存する肝RLHを診断,切除できた症例を経験したので報告する.

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