日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
術前診断し腹腔鏡下に手術した副脾茎捻転の1例
渡部 かをり北上 英彦北山 陽介安田 顕山本 稔田中 守嗣
著者情報
キーワード: 副脾, 捻転, 腹腔鏡
ジャーナル フリー

2017 年 78 巻 5 号 p. 1097-1101

詳細
抄録

副脾は日常臨床でもしばしば遭遇するが,副脾茎捻転は非常に稀な疾患である.今回われわれは,術前に副脾茎捻転と診断し腹腔鏡下に手術しえた1例を経験したので報告する.症例は22歳の男性.左側腹部痛を主訴に受診し,腹部造影CTで脾臓頭側に7mm大の腫瘤と周囲脂肪織の濃度上昇を認めた.脾動脈から分枝した栄養血管は腫瘤近傍で不明瞭化し,腫瘤は造影されなかった.以上より,副脾茎捻転と診断し緊急手術を施行した.手術所見で脾臓頭側に大網と連続した暗赤色の腫瘤を認め,腹腔鏡下に腫瘤を切除した.切除標本では変色した脂肪の内部に1cm大の充実部分を認め,病理検査は副脾茎捻転に矛盾しない所見であった.術後経過は良好であった.副脾茎捻転は特徴的な画像所見がなく術前診断が困難である.しかし,破裂などで重篤となり得るため有症状例では緊急手術を考慮すべきで,本疾患に対しては術中確定診断と低侵襲な治療を行える腹腔鏡手術が有用と考える.

著者関連情報
© 2017 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top