日本臨床外科学会雑誌
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症例
腸骨動脈が原因となった広汎子宮全摘術後のイレウスの3例
杉山 昂本間 重紀吉田 雅市川 伸樹川村 秀樹武冨 紹信
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2017 年 78 巻 5 号 p. 1144-1149

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抄録

腸骨動脈が原因となって絞扼性イレウスを生じた3例を経験したので報告する.症例1,53歳の女性.子宮体癌肉腫に対して広汎子宮全摘術施行.術後73日目に絞扼性イレウスの診断で緊急手術を施行.右外腸骨動脈と腸腰筋間に小腸が嵌頓し,壊死小腸を切除.間隙を回盲部で被覆し固定した.症例2,37歳の女性.妊娠合併子宮頸癌に対して帝王切開,広汎子宮全摘術を施行.術後33日目に絞扼性イレウスの診断で緊急手術を施行.右総腸骨動脈と腸腰筋間に小腸が嵌頓.小腸部分切除を施行し,間隙をS状結腸間膜で被覆し固定した.症例3,37歳の女性.子宮体癌,子宮頸癌合併に対して腹腔鏡下広汎子宮全摘・両側付属器切除術施行.術後56日目に絞扼性イレウスの診断で緊急手術施行.右外腸骨動脈と腸腰筋間に小腸の嵌頓あり,イレウス解除術施行.広汎子宮全摘術後に発生したイレウスでは,血管が原因となる機序を鑑別として考慮するべきである.

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