日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃癌術後に短期間で再発した血球貪食症候群の1例
関根 隆一根本 洋田中 淳一原田 芳邦横溝 和晃塚本 裕之大池 信之
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2017 年 78 巻 6 号 p. 1213-1219

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抄録

症例は68歳,男性.食欲低下と体重減少を主訴に受診し,4型胃癌に対し胃全摘術を行った.5PODに敗血症とDICが発症し抗生剤投与,DIC治療を開始した.しかし,薬物治療は奏効せず,特に血小板減少は重篤で連日の血小板輸血を要した.さらに,18PODにARDSが発症し人工呼吸管理を要した.臨床症状より血球貪食症候群(以後,HPS)を疑い,診断基準項目を満たしたためPSLを開始した.敗血症と血小板減少は劇的に改善し67PODに退院となった.PSLは漸減し外来で終了した.1カ月後に癌性腹膜炎の疑いで入院したが,再度ARDSが発症したことからHPSの再発と診断し,ステロイドパルス療法を行うも改善せず死亡した.臓器移植を除き,手術後のHPSは本例で15例目であった.HPSの本態は高サイトカイン血症と考えられるが,術後合併症としての認知度は低く診断に至らない症例もあると考えられ,注意を要する.

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© 2017 日本臨床外科学会
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