日本臨床外科学会雑誌
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症例
肝円索被覆により治療したMirizzi症候群の1例
中村 広太池田 直也金村 哲宏上野 正闘榎本 浩士
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2017 年 78 巻 6 号 p. 1353-1358

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抄録

症例は68歳,男性.潰瘍性大腸炎に対して当院内科通院中に黄疸を指摘された.前年施行のCT検査では正常胆嚢と15mm径の胆嚢結石が撮影されていたが,来院時腹部造影CT検査では胆嚢は萎縮し,肝内胆管の拡張と左右肝管合流部に狭窄を認め,胆嚢結石により総肝管が圧迫されていた.Mirizzi症候群と診断し,術前にERBDで減黄を施行した後に,手術予定となった.手術所見では,炎症のため高度に萎縮し肝床部に埋没する胆嚢を認めた.胆嚢壁を切開し,胆嚢結石を同定しこれを除去した.径2mmの胆嚢胆管瘻が存在し,瘻孔を閉鎖する目的で胆嚢内腔に肝円索を充填,瘻孔を被覆した.手術後は合併症なく経過し,退院となった.術後DIC-CT検査で修復部胆管の通過に問題がないことを確認した.今回,胆嚢胆管瘻を伴うMirizzi症候群に対して結石除去後に肝円索で瘻孔被覆を行い治療しえた1例を経験したので報告する.

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