日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した小児胆嚢捻転症の1例
大渕 佳祐武田 圭佐村田 竜平財津 雅昭今 裕史小池 雅彦
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2017 年 78 巻 6 号 p. 1389-1394

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抄録

小児の胆嚢捻転症は稀だが,胆嚢動脈の虚血や胆嚢壊死をきたし,時に致命的となる.自験例は360°捻転して自然解除不能なCarter分類の完全型であったが,症状発現が緩徐で診断に難渋し,発症3日目に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.症例は11歳,女児.前日からの右季肋部痛と嘔吐を主訴に,当院小児科に紹介入院となった.身体所見では心窩部から右季肋部に自発痛と圧痛があり,採血では炎症反応が軽度増加していた.入院翌日のCTで胆嚢腫大および壁の造影効果を認めた.入院2日目に右季肋部に約3cmの有痛性腫瘤を触知し,MRCPでは胆嚢腫大と胆嚢管の途絶を認めた.同日,胆嚢捻転症の疑いで緊急手術を施行した.反時計周りに360°捻転した完全型胆嚢捻転症であり,胆嚢は全体的に黒く変色していた.また,胆嚢管のみが肝臓と付着するGross II型の遊走胆嚢であった.捻転を解除して腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.術後経過は良好で術後4日目に退院した.

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