日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
Positron- emission- mammographyが術式選択に有用であった乳癌の1例
大山 宗士中村 清吾沢田 晃暢片山 敦小澤 幸彦明石 定子
著者情報
キーワード: PEM, 乳癌, 乳腺症
ジャーナル フリー

2017 年 78 巻 8 号 p. 1715-1720

詳細
抄録

症例は42歳,女性.近医にて乳癌が疑われ当院を紹介受診.マンモグラフィにて左乳房上外側に構築の乱れあり,超音波検査では左乳房1時方向に3cmの不整形腫瘤像,また左右乳房内に低エコー領域が散在していた.針生検にて腫瘤は浸潤癌,低エコー領域の細胞診は全て正常または良性と診断された.患者より温存術の強い希望あり,乳房造影MRI・造影マンモグラフィにて更なる切除範囲評価を試みるも背景乳腺造影効果のため困難であった.乳腺特異的PETであるPEM(positron emission mammography)の結果,左乳房外側のみに集積がみられた.本結果より乳房部分切除,センチネルリンパ節生検を施行.術後放射線治療,ホルモン療法を施行し4年経過している現在まで再発は認めていない.PEMは感度特異度共にMRIと同等とされ,特に今回のように乳腺症が混在する症例の術式選択に有用な画像診断法として,今後期待される.

著者関連情報
© 2017 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top