日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
AAAに対する人工血管置換術後9年で腰動脈から後腹膜出血した1例
北條 禎久三好 麻衣子井村 真里
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 78 巻 8 号 p. 1748-1753

詳細
抄録
腹部大動脈瘤ステントグラフト内挿術後に見られるtypeIIエンドリークのような腰動脈からの出血による合併症は,腹部大動脈瘤人工血管置換術後には稀である.われわれの経験した症例は破裂性腹部大動脈瘤で人工血管置換術施行されていた84歳の男性である.術後9年目に撮影したCTでは,左内腸骨動脈瘤以外は人工血管置換部付近の異常は指摘されていなかった.術後9年2カ月後突然の左側腹痛を主訴に救急外来受診した.左内腸骨動脈瘤の破裂を疑い造影CT施行したところ,置換した人工血管をラッピングした瘤壁内に流入する腰動脈よりの出血が原因の後腹膜出血と診断された.出血の原因となっている腰動脈と内腸骨動脈瘤をコイル塞栓し,人工血管左脚から外腸骨動脈にステントグラフトの脚を留置し救命したので,文献的考察を加え報告する.
著者関連情報
© 2017 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top