日本臨床外科学会雑誌
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症例
7年経過の後に急速に進行した食道verrucous carcinomaの1例
柿本 忠俊三浦 修竹尾 幸子椎原 正尋豊島 幸憲
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2017 年 78 巻 8 号 p. 1774-1779

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抄録

症例は77歳,男性.7年前に心窩部痛で来院,上部消化管内視鏡検査で下部食道から食道胃接合部(esophagogastric junction,以下EGJ)に至る全周性の白色調小顆粒状隆起を認めた.H2 blocker内服で症状が改善したため,その後外来受診されなかった.9カ月前に同主訴で来院,EGJに全周性潰瘍を認めた.また,その口側の下部食道に前回同様の全周性の白色隆起を認め,一部は疣状に盛り上がっていた.内服治療で一時改善したが1カ月前に症状が再燃したため再検したところ,EGJに全周性の不整なびらんが出現し狭窄をきたしていた.狭窄部の生検結果は扁平上皮癌であり下部食道切除術・胃管再建術を施行した.術後の病理診断結果,EGJに外膜に達する高分化扁平上皮癌を認めた.さらに,口側の白色隆起は角化を含む乳頭状増殖を伴い,ごく軽度の異型を認めた.両者は連続した病変であったため食道verrucous carcinoma(以下VC)と診断した.食道に発生し長期間の経過の後に急激に進行したVCの1例を経験したので報告する.

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© 2017 日本臨床外科学会
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