日本臨床外科学会雑誌
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症例
肝転移を伴う胃原発ガストリノーマの1例
田中 貴子有上 貴明石神 純也上之園 芳一大久保 啓史夏越 祥次
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2017 年 78 巻 8 号 p. 1780-1784

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抄録

症例は50歳,女性.胃十二指腸潰瘍に対する保存的治療の既往があり,上部消化管内視鏡検査で胃粘膜下腫瘍を指摘された.腹部造影CT検査では転移性肝腫瘍を指摘された.肝転移を伴う胃原発ガストリノーマの診断となり,幽門側胃切除術(D2リンパ節郭清,肝外側区域切除術)を施行した.手術直後,ガストリン値は著明に低下したが,術後4カ月から再上昇を認め,肝転移再発の診断となり,分子標的薬治療を施行した.
ガストリノーマはガストリノーマトライアングル内に多く発生することが知られているが,異所性ガストリノーマの報告は少なく,胃原発ガストリノーマの報告は極めて稀である.肝転移を伴うガストリノーマの予後は極めて悪く,外科切除以外にも分子標的薬あるいは肝転移巣に対する局所療法として選択的肝動脈塞栓術などが有用という報告もある.当科で経験した肝転移を伴う胃原発ガストリノーマについて,文献的考察を加えて報告する.

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© 2017 日本臨床外科学会
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