2017 年 78 巻 8 号 p. 1844-1847
症例は81歳,女性.半年前からの寝汗を主訴に受診し,血液検査で白血球36,000/mm3と著明な増加を認め,腹部造影CT検査で上行結腸に7cm大の造影効果を伴う腫瘤を認めた.下部消化管内視鏡検査で上行結腸に全周性の2型腫瘍を認め,生検で低分化型腺癌の診断となった.感染徴候に乏しく,血液疾患を疑う所見もないことから,granulocyte-colony stimulating factor(以下,G-CSFと略記)産生大腸癌を疑い,回盲部切除を施行した.病理組織学的には強い好中球浸潤を伴う低分化型腺癌で,腫瘍細胞は抗G-CSF抗体を用いた免疫染色で陽性を示し,G-CSF産生大腸癌と診断した.G-CSF産生腫瘍は肺癌を中心に報告例が増えているが,大腸癌における報告は比較的まれであり,文献的考察を加え報告する.