抄録
症例は67歳,男性.アルコール性慢性膵炎で通院中に左膵性胸水を発症し,胸腔ドレナージ術を施行した.その13カ月後に嘔吐,食思不振が出現し,当院を受診した.腹部CTで左胸腔内に胃の脱出を認め,左横隔膜ヘルニアと診断し腹腔鏡下手術を施行した.ヘルニア門は食道裂孔左側に存在し,ヘルニア門を縫合閉鎖後にメッシュで補強し修復した.慢性膵炎に伴う膵性胸水はまれな合併症で,その後に横隔膜ヘルニアを認めた症例の報告はない.今回われわれは,膵性胸水貯留が原因と考えられた横隔膜ヘルニアに対して腹腔鏡下手術を施行した1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.