抄録
63歳,女性.人間ドックの腹部超音波検査で肝周囲の腫瘤を指摘され,精査目的に当院に紹介された.腹部CT検査で不均一に造影される10cm大の腫瘤が認められ,左腎静脈分岐部近くで下大静脈内に突出する像がみられた.その後,腫瘤は急速に増大し,肝十二指腸間膜と下大静脈の間より左右にダンベル型に大きく発育した.下大静脈原発腫瘍と診断し手術を施行した.腫瘍は膨張性発育を示し周囲との剥離は比較的容易であったが,下大静脈と肝十二指腸間膜との間を引き抜けず分割切除とした.下大静脈は前壁を約1/3周性に合併切除し,ウシ心膜パッチで再建した.病理組織学的に下大静脈壁の平滑筋より連続性に増生する腫瘍像を認め,下大静脈原発平滑筋肉腫と診断された.以後,播種再発を繰り返し,3度の再手術を施行,初回手術から21カ月経過し外来にてfollow中である.下大静脈原発平滑筋肉腫は稀な疾患であり,文献的考察を加えて報告する.