抄録
症例は16歳の男性で,バレーボール選手である.右下腹部痛で受診し,CT検査でRetzius腔に膿瘍形成がありドレナージを施行,細菌培養でメチシリン感受性黄色ブドウ球菌を検出した.5日目に施行した造影MRI検査で恥骨と膿瘍に連続性を認め,化膿性恥骨結合炎と診断し,セフェム系抗菌薬投与を施行した.恥骨結合炎は勤続的な酷使により恥骨間円板に炎症を生じる疾患で,整形外科領域では一般的な炎症性疾患である.一方で,化膿性恥骨結合炎(septic arthritis of the pubic symphysis,以下SAPS)は若年スポーツ選手に多い疾患で,腹痛や鼠径部痛と膿瘍形成を認めるため,急性虫垂炎や原因不明の腹膜炎と診断されることが多い.診断困難であることから,治療しても再発や重篤化する報告が散見される.重篤化する際はdebridementなど侵襲的な治療が必要となるため,早期診断が重要である.