2018 年 79 巻 1 号 p. 66-71
われわれは平成26年1月~平成29年5月までに,病理診断によって4例の分節性動脈中膜融解症(segmental arterial mediolysis:以下SAM)を経験した.年齢は60歳から88歳までで,すべて男性であった.全例に緊急手術を行い,摘出検体より中膜の空胞変性など特徴的な所見からSAMと診断した.3例は生存し,1例のみ術後第36病日に肝梗塞によって死亡したが,死因とSAMとの関連性は不明であった.今回,自験例4例と国内で渉猟しえたSAMの報告107例とを合わせ,疫学や発症部位などの特徴を報告する.