日本臨床外科学会雑誌
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症例
多発嚢胞経過観察中に発生した乳腺コレステロール肉芽腫の1例
小川 明子内田 惠博森 一郎國松 奈津子
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2018 年 79 巻 10 号 p. 2015-2019

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抄録

症例は56歳,女性.53歳の時に左乳房の腫瘤と痛みを自覚し来院.マンモグラフィ(MMG)・乳房超音波検査・乳房MRI検査が行われ,乳腺症を伴う多発嚢胞と診断.その後,年に一度の超音波検査による経過観察.3年後の超音波検査で左EAB領域に嚢胞内腫瘍を思わせる所見が出現し,乳房MRI検査で嚢胞に接して充実部のある29mmの腫瘤を認め,嚢胞内乳癌が疑われた.嚢胞の充実部を超音波下穿刺吸引細胞診したところ,蛋白質を背景に炎症細胞,泡沫細胞の所見で悪性所見はみられなかった.本人の希望により,診断確定のために摘出生検施行.病理結果は乳房内コレステロール肉芽腫の診断であった.時に画像診断上で乳癌と鑑別が困難な症例がある.

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