抄録
経カテーテル大動脈弁留置術(transcatheter aortic valve implantation:TAVI)は大動脈弁狭窄症(aortic stenosis:AS)に対し人工心肺を用いず,カテーテルを用いて大動脈弁位に生体弁を留置する低侵襲治療である.しかし,時には致命的合併症に遭遇する手技である.症例は88歳の女性.重症大動脈弁狭窄症の診断にて,当院を紹介受診した.高齢・脆弱のためハートチームでの検討の結果,TAVIを行う方針とした.手術は全身麻酔下に行い,右大腿動脈経由で左室内へStiffワイヤーを留置.バルーン大動脈弁形成(balloon aortic valvoplasty:BAV)に引き続き弁を留置した.弁留置直後に大量の心嚢水が出現したため,緊急で開胸手術を行った.左室内の留置ワイヤーによる左室破裂と診断し,左室形成を行い止血した.術後経過は良好であった.