日本臨床外科学会雑誌
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症例
上行結腸癌手術時に切除された腸間膜傍神経節腫から診断されたVHL病の1例
政野 裕紀村田 徹中村 英二郎佐藤 文平薄井 裕治
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2018 年 79 巻 10 号 p. 2096-2102

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抄録

症例は62歳,女性.既往に中枢神経系血管芽腫に対する手術歴があった.便潜血陽性のため下部消化管内視鏡検査を行い,上行結腸癌と診断された.術前造影CT検査にて,上行結腸近傍に複数の小腫瘤,横行結腸間膜内の中結腸動脈右枝近傍に単発の多血性腫瘤を認め,#211および#222リンパ節転移と診断,腹腔鏡下右半結腸切除術(D3郭清)を施行した.術中に中結腸動脈右枝近傍に白色腫瘤を認めた.また,高血圧などの術中異常所見は認めなかった.病理組織検査結果から#211リンパ節は上行結腸癌の転移,術前に#222リンパ節転移と診断した腫瘤は,paragangliomaと診断された.既往に中枢神経系血管芽腫があることから,von Hippel-Lindau病と臨床診断された.腸間膜内に発生するparagangliomaは非常に稀だが,多血性腫瘤を認めた場合には既往歴に十分注意し,同疾患を考慮した手術を行う必要がある.

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© 2018 日本臨床外科学会
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