日本臨床外科学会雑誌
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症例
術後12年目に肝転移再発したStage I(T2)下行結腸癌の1例
白川 賢司前田 佳之坂部 龍太郎桒田 亜希田原 浩布袋 裕士
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2018 年 79 巻 10 号 p. 2103-2107

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抄録

症例は68歳,女性.12年前に他院で下行結腸癌に対して左結腸切除術(D2郭清)を施行された.病理診断はT2(MP),N0,M0,ly0,v0,Stage Iであった.近医での腹部CT検査と腹部超音波検査で肝右葉に石灰化を伴う腫瘤を認めたため,紹介となった.上部・下部内視鏡検査は悪性疾患を疑う所見はなく,腹部CT・MRI検査で肝S5に造影効果を伴う石灰化のある腫瘤を認めた.CEAも高値で,悪性疾患の可能性が高く,肝S5部分切除術を施行した.病理組織学的検査では12年前の下行結腸癌の組織像と同様の組織像を示し,下行結腸癌の肝転移と診断した.術後5年を超えてのStage I大腸癌の再発は稀ではあるが,大腸癌の既往がある場合には再発の可能性を常に念頭に置いておく必要がある.

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© 2018 日本臨床外科学会
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