日本臨床外科学会雑誌
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症例
大腸stentを挿入して弁治療を先行した大動脈弁狭窄症併存閉塞性大腸癌の2例
坂本 あすな末澤 孝徳林田 智博矢野 匡亮大谷 弘樹大橋 龍一郎
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2018 年 79 巻 10 号 p. 2108-2113

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抄録

閉塞性大腸癌とaortic valve stenosis (以下AS)を合併した高齢者に対し,大腸ステントによって腸管浮腫の軽減と栄養状態の改善,ADLの維持を図りつつ心疾患の治療と大腸手術を施行し,良好に経過した2例を経験したので報告する.(症例1)73歳,男性.呼吸困難を主訴に受診し,ASによる心不全と内腔狭窄を伴うS状結腸癌を指摘された.入院6日目に大腸ステントを留置後,13日目に大動脈弁置換術,63日目に開腹S状結腸切除術を施行した.(症例2)79歳,男性.肺気腫の通院治療中に偶然,内腔狭窄を伴うS状結腸癌と多発肝転移,高度ASと冠動脈病変を指摘された.入院4日目に大腸ステントを留置し,8日目にPCI,13日目にTAVIを施行し,50日目に腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した.
大腸ステントを使用することで,心疾患を合併した閉塞性大腸癌症例にも根治を目指し得ることが示唆された.

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