日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
広範囲デブリードマンと直腸切断術により救命した重症Fournier壊疽の1例
山本 真大植木 隆許斐 裕之大城戸 政行一宮 仁
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 79 巻 10 号 p. 2127-2133

詳細
抄録

Uludag Fournier's gangrene severity index(UFGSI)により極めて死亡率が高いと判定された重症Fournier壊疽を,広範囲デブリードマンにより救命した.73歳の男性,臀部の発赤と疼痛を認め搬送された.会陰部の皮膚は壊死し,臀部全体が炎症で発赤していた.CTで下部直腸に壁肥厚を認め,皮膚軟部組織の炎症は第12肋骨レベルまで進展していた.直腸癌穿孔による重症Fournier壊疽と診断し,人工肛門造設,会陰部ドレナージを施行した.術後も感染の範囲は肩甲骨下縁レベルまで拡大し,敗血症,DICとなった(UFGSI 18点).術後8日目に直腸切断,両側精嚢・精巣摘出,背部,右大腿部の壊死組織大量切除を行った.DIC,敗血症から脱し,植皮ののち退院となった.制御不能な直腸癌穿孔による重症Fournier壊疽には原発巣切除と広範囲デブリードマンが必要である.

著者関連情報
© 2018 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top