日本臨床外科学会雑誌
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症例
低位前方切除時に留置した経肛門ドレーンによる大腸穿孔の1例
塚原 哲夫林 英司河原 健夫青山 広希服部 行紀澤崎 直規
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2018 年 79 巻 10 号 p. 2120-2126

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抄録

症例は53歳,男性.検診で便潜血陽性を指摘され,前医で下部直腸のカルチノイドと診断され,当院へ紹介となった.手術は腹腔鏡下低位前方切除術を施行し,吻合部ドレーンと経肛門ドレーンを留置した.術後第5病日の経肛門ドレーン造影で,縫合不全を認めなかったが,経肛門ドレーンは吻合部口側腸管後壁を圧排しており,抜去した.術後第6病日に吻合部ドレーンより便汁様排液を認め,吻合部ドレーン造影で経肛門ドレーンによる口側腸管後壁の穿孔と診断された.術後第9病日に大量の下血を呈し,CTで仙骨前面から出血を認めたため,緊急開腹止血術を施行した.術後,穿孔部は保存的に改善せず,初回手術から第63病日,回腸人工肛門を造設して,第81病日に退院となった.経肛門ドレーンによる腸管穿孔はまれな合併症であり,文献的考察を加えて報告する.

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