抄録
症例は,80歳,男性.2014年,中部胆管癌に対し幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行.術後膵液漏に伴う肝外門脈閉塞をきたし,挙上空腸・胆管空腸吻合部を介した副血行路が形成され,時に消化管出血を認めたが保存的に対処可能であった.2016年6月,再度大量下血をきたし入院となった.保存的加療を行ったが繰り返し下血をきたし,頻回の輸血を余儀なくされた.挙上空腸からの出血を疑い,内視鏡で肝門部挙上空腸まで到達すると胆管空腸吻合部付近で粘膜下に著明な静脈瘤がみられ,出血源を確認できた.同部位にクリッピング術を行い止血処置とした.施術後は下血の再燃なく外来通院中である.膵頭十二指腸切除術後膵液漏は腹腔内出血など致命的な転帰をきたし得る重篤な合併症であるが,炎症波及による肝外門脈閉塞にも注意が必要であり,その場合には消化管出血を念頭に置き慎重に経過をみる必要がある.