2018 年 79 巻 11 号 p. 2338-2345
症例は45歳,男性.右季肋部痛を主訴に,近医より紹介され当院を受診した.血液検査にて白血球数増多とCRPの上昇を認めた.腫瘍マーカーではCA19-9が高値を示した.腹部超音波では肝右葉に高エコーで内部不均一な腫瘍を認めた.腹部造影CT検査では腫瘍辺縁のみが濃染され中心部は濃染されなかった.肝内胆管癌の特殊型,特に肉腫様癌を疑い,肝右葉切除術,横隔膜合併切除とリンパ節郭清術を施行した.切除標本では腫瘍は12×10cmの大きさであった.割面は黄白色であり,内部に壊死・嚢胞化・出血を認めた.病理組織検査では腫瘍のほとんどで多辺形から短紡錘形の腫瘍細胞が錯走するように増殖しており,肉腫様構造を呈していた.腫瘍の辺縁部のみに腺管構造を認めた.免疫組織化学検査では腫瘍の大部分で,CK7(+),CK19(+),EMA(+),vimentin(+),Hepatocyte(-),AFP(-)であった.肉腫様変化を伴う肝内胆管癌と診断した.