抄録
胸腺腫肝転移の画像検査の特徴的所見および外科的切除の有効性に関する詳細な報告は少ない.症例は79歳,男性.肝腫瘍の精査加療目的に当院を紹介受診した.充実成分と嚢胞成分を有する肝腫瘍に対して肝切除術を行った.病理組織学的検査で胸腺腫肝転移と診断されたため,肝切除術5カ月後に前縦隔腫瘍摘出術および転移性肺腫瘍切除術を施行,病理組織学的検査は胸腺腫および胸腺腫肺転移であった.術後補助化学療法は施行していないが,術後42カ月無再発生存中である.胸腺腫の血行性転移は頻度が低く,画像検査所見の特徴は明らかではない.肝臓の嚢胞性病変は様々な鑑別疾患が挙げられるが,胸腺腫肝転移も嚢胞成分を伴っていることがある.胸腺腫肝転移に対する外科的切除が有用である症例が存在することが本症例から示唆された.