抄録
症例は65歳,男性.下血にて前医で下部消化管内視鏡検査を施行され,歯状縁より3cmの下部直腸に全周性の病変を認めた.貧血の進行と臀部の潰瘍形成を認めたため,当院に救急搬送となった.血液検査で貧血と炎症反応の上昇を認め,造影CT検査で直腸の全周性の壁肥厚と会陰部~右鼠径部の皮下軟部組織への空気像の波及がみられ,直腸癌穿孔によるFournier症候群と診断した.同日,横行結腸双孔式人工肛門造設,会陰部デブリードメントを施行したが,腫瘍出血が持続するため,翌日開腹による腹会陰式直腸切断術,S状結腸単孔式人工肛門造設を施行した.病理組織学的検査で未分化癌(pT3N1M0 pStage IIIa,剥離面陽性)と診断された.術後第12病日に会陰創に出血を伴う集簇結節を認め,同部位からの生検で未分化癌と診断された.短期間に腫瘍の増大・出血がみられ,緩和治療目的に前医に転院となったが,術後第25病日に原病死した.