抄録
症例は69歳の女性で,上腹部痛を主訴に来院,上腹部に新生児頭大の腫瘤を触知し精査となった.血液生化学検査では,CA125の軽度上昇のみであった.腹部造影CTでは,肝左葉外側区域から突出し部分的に強く造影される長径15cm腫瘍を認めた.肝血管腫と診断し待機的手術を予定していたが,突然の腹部膨満感で救急外来を受診した.腹部造影CTで腫瘍の著明な増大と腹水の出現を認め,腫瘍破裂の診断で緊急手術を行った.腹腔内には血性腹水を大量に認め,腫瘍被膜が複数箇所で裂け出血していた.肝部分切除術を施行,腫瘍径は30cm,摘出肝重量は3,900gであり,短期間で急速増大していた.病理組織診断は肝未分化肉腫であった.術後の化学療法は希望されなかった.術後6カ月目に下腹部痛が出現し,腹部造影CTで肝転移,腹発播種再発を認め,術後8カ月目に死亡した.肝未分化肉腫の成人例での発症は本邦でも極めて稀で,予後不良である.