抄録
大腸癌の経肛門的標本摘出と機能的端々吻合による完全腹腔鏡下手術の経験を報告する.対象は腫瘍が郭清された組織と共に経肛門的に摘出可能な症例で,漿膜浸潤のないリンパ節転移陰性例を適応とした.腹腔鏡下に対象病変のリンパ節郭清を行った後,口側,肛門側腸管を自動縫合器で切離する.Water jet洗浄機能付きの大腸内視鏡で肛門側腸管を洗浄する.肛門側腸管のステイプラー部を切除して,標本を経肛門的に内視鏡等を利用し摘出する.肛門側腸管は縫合器で閉鎖し,機能的端々吻合で口側腸管と吻合する.現在までに19例にこの手技を行ったが,縫合不全等の重篤な合併症はなく,小開腹が省略されるため術後の疼痛は非常に軽微であった.本法は整容性,低侵襲性に優れた術式と思われるので手技を中心に報告する.