日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
乳腺悪性腺筋上皮腫の2例
都倉 桃子尾身 葉子野口 英一郎山本 智子神尾 孝子岡本 高宏
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 79 巻 2 号 p. 294-301

詳細
抄録

腺筋上皮腫は腺上皮細胞と筋上皮細胞のいずれもが増生する良性腫瘍だが,稀にどちらか一方または両方の細胞が悪性化することがあり,悪性腺筋上皮腫として知られている.われわれは2例の乳腺悪性腺筋上皮腫を経験したので報告する.症例1は68歳,女性.右乳房に14mm大の分葉状腫瘤を認め,針生検で腺筋上皮腫や乳管癌,両者の合併が疑われ,乳房部分切除術を施行した.病理組織検査にて腺上皮成分が癌化し非浸潤性乳管癌となった悪性腺筋上皮腫と診断した.症例2は81歳,女性.右乳房に35mm大の不整形腫瘤を認め,針生検で悪性腺筋上皮や悪性葉状腫瘍が疑われ,乳房切除+腋窩郭清を施行した.病理組織検査にて筋上皮成分が悪性化した悪性腺筋上皮腫と診断した.術後に肺・肝・骨転移を認め,9カ月目に死亡した.腺筋上皮腫は針生検での診断が難しいが,悪性の場合は予後不良であり,外科的生検にて診断をつけ,早期に治療することが重要である.

著者関連情報
© 2018 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top