日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃壁筋層内へ穿破した膵粘液性嚢胞腫瘍の1例
太田 学三木 厚遠藤 和洋佐久間 康成レフォー アラン K.佐田 尚宏
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2018 年 79 巻 2 号 p. 405-411

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抄録
症例は44歳,女性.主訴は心窩部不快感.CTで膵尾部に径約70mmの嚢胞性病変,それと連続し胃壁内に小嚢胞の集簇を認めた.経過観察中に突然の腹痛で当院へ救急搬送され,CTで胃側の嚢胞が長径95mmと増大しており入院した.超音波内視鏡検査で胃側の嚢胞は胃壁筋層内に存在し,膵尾部の嚢胞との交通を認めた.穿刺内容液は血性で,内容液中のamylase(AMY),CEAが高値であった.膵粘液性嚢胞腫瘍(MCN)が胃壁内へ穿破したことによる胃壁筋層内出血と診断し,待機的に手術を行った.手術は膵体尾部脾合併切除を行い,胃側の嚢胞は胃壁の筋層を温存し嚢胞壁のみ合併切除した.膵嚢胞内容液のAMY,CEAは高値で胃壁側の嚢胞液と類似していた.病理組織診断ではMCNの診断であった.MCNが膵管と交通を持ち,胃壁筋層内へ穿破し出血を生じたと考えられる1例を経験したため,文献的考察も含めて報告する.
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© 2018 日本臨床外科学会
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