日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔内操作を併用した単孔式TEP法で修復した巨大鼠径ヘルニアの1例
若杉 正樹中原 裕次郎廣田 昌紀武元 浩新高地 耕大島 聡
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2018 年 79 巻 2 号 p. 435-440

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抄録

症例は83歳,男性.小児期からの右鼠径部膨隆を主訴に当科を受診した.来院時,右鼠径部から大腿にかけて小児頭大の膨隆を認めた.左鼠径部にも手拳大の膨隆を認めた.腹部CT検査では,右鼠径ヘルニア内容は回腸・右側結腸・大網であり,左鼠径ヘルニア内容は膀胱だった.非還納性巨大鼠径ヘルニアと診断し,腹腔内操作を併用した単孔式TEP (totally extraperitoneal repair)で両側鼠径ヘルニアを修復した.術後早期に漿液腫を認めたが,保存的に軽快した.術後9カ月でヘルニア再発を認めず,良好に経過している.腹腔内操作を併用した単孔式TEP法は,(1)整容性に優れており,(2)安全にヘルニア内容還納・ヘルニア嚢処理が可能であり,(3)広範な腹膜外腔剥離により,十分な大きさのメッシュ留置が可能であるため,非還納性巨大鼠径ヘルニアに対する術式選択の一つになりえる.

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