抄録
症例は63歳,男性.腹痛と便秘を主訴に近医でイレウスと診断され,当院に紹介された.直近に胸部外傷の既往なく,来院時胸痛・呼吸困難はなかった.胸腹部CTでS状結腸の閉塞と縦隔気腫を認め,同日人工肛門造設術を施行した.縦隔気腫は経過中に消失した.精査の結果,S状結腸癌,直腸癌と肝転移を認め,2カ月後,二期的に原発巣切除と転移性肝腫瘍切除を施行したが,この周術期に縦隔気腫は再発しなかった.術後2年6カ月,化学療法中に呼吸困難・発熱を主訴に当院を受診し,急性呼吸不全の診断で緊急入院した.気管挿管下に人工呼吸管理とステロイドパルス療法を行い,人工呼吸管理7日目に胸部X線で縦隔気腫の再発を認めた.陽圧換気を継続したが縦隔気腫は消失した.患者は呼吸不全により入院2カ月後に死亡した.本症例における縦隔気腫の発生機序や経過の特色について,文献的考察を加えて検討し報告する.