日本臨床外科学会雑誌
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症例
腸回転異常症を併存した子宮全摘後の尿管による絞扼性イレウスの1例
岡畠 祥憲島田 宏菅谷 慎祐牧野 安良能五味 邦之丸山 起誉幸
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2018 年 79 巻 4 号 p. 921-924

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抄録

症例は45歳,女性.子宮体癌に対して2週間前に手術を施行された.第4病日から嘔吐,腹痛が出現.診察では腹部は軽度膨隆,正中より右側に軽度の圧痛を認めていた.術後癒着性イレウスと診断され保存的加療をしていたが,第15病日の腹部造影CT検査で腹部右側に小腸の限局的な拡張と右腎盂の拡張,右尿管が屈曲し下腹部で途絶している所見を認め,絞扼性イレウスおよび右水腎症と診断し,緊急再手術を施行した.腹腔内を観察するとTreitz靱帯は通常の位置には存在せず,椎体の右側に存在し腸回転異常症と診断した.その肛門側にて前回手術時に形成された右尿管と後腹膜との間隙に入り込み絞扼されていた.腸管は軽度の色調変化を認めたが,用手的に整復することで改善したため,腸管切除は行わなかった.再発防止として右尿管を後腹膜に縫着した.婦人科術後に剥離した尿管が原因で発症したイレウスは稀であり,文献的考察を加えて報告する.

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