耳鼻と臨床
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原著
輪状軟骨切開術 13 例の検討
松岡 千尋阪上 智史八木 正夫岩井 大
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2023 年 69 巻 3 号 p. 176-181

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抄録

最も一般的な外科的気道確保術である気管切開術は、術中・術後の合併症が危惧されるハイリスク症例(高度肥満、短頸、長期的なカニューレ管理を要するなど)において、安全な管理に悩まされる。近年、安全性を考慮した新しい術式として 2007 年に鹿野によって輪状軟骨切開術(Cricoid Cartilage Fenestration:以下 CCFn)が報告され、ハイリスク症例に対する選択肢としてその有用性が確認されている。当科では 2020 年 12 月から 2021 年 12 月の間に CCFn を 13 例に施行した。心肺停止による蘇生後脳症が 7 例(54%)、脳出血(脳幹出血を含む)が 2 例(15%)、脊髄梗塞が 2 例(15%)、その他の症例が 2 例(15%)であった。BMI 30 を超える肥満が 13 例中 4 例(31%)で、抗凝固薬を使用している例は 5 例(38%)であった。全症例で合併症を認めず、観察中にカニューレ管理におけるトラブルはなかった。人工呼吸器は 8 例(62%)で離脱した。脊髄梗塞の 2 例のうち 1 例は意識状態が良好で発声可能であった。しかし、上肢の運動障害があるため用手的な閉鎖による発声が困難であったのでレティナ®を挿入したが、フランジが声門に接触するために使用できなかった。上肢の運動障害を伴い用手的な閉鎖による発声が困難な症例に対して CCFn を行う場合には注意が必要と考える。

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