日本臨床外科学会雑誌
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症例
血液透析患者褐色細胞腫の1例
笹本 彰紀石川 健馬場 卓也石川 衛岩本 久幸宮田 幸忠
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キーワード: 褐色細胞腫, 血液透析
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2018 年 79 巻 4 号 p. 925-931

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抄録

症例は多発性嚢胞腎で血液透析を受けている66歳の男性.胸痛発作で近医を受診し,偶然CT検査で左副腎腫瘍を指摘.異常高血圧をきたし当院に緊急入院.入院時血液検査でカテコラミンの高値を認めた.造影CTで内部に壊死を伴う造影される腫瘍を認め,I123-MIBGシンチで左副腎に集積を認め褐色細胞腫と診断.術中・術後の心血管系の重篤な合併症を防ぐ目的に,術前α1遮断薬を漸増していき,dry weightを0.7kg増加させ手術に臨んだ.腫瘍への過度な接触による術中異常高血圧を回避するため腫瘍とともに左腎臓を合併切除.切除標本は20×15cm,1,945gの腫瘍で,病理検査で Pheochromocytoma of the Adrenal Gland Scoring Scaleは 6点,Ki-67は5%で悪性の経過をたどる可能性の高い褐色細胞腫と最終診断した.

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© 2018 日本臨床外科学会
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