抄録
症例は71歳,男性.小児麻痺で左下肢麻痺があり,日常生活で松葉杖を使用していた.左前腕の痺れを主訴に受診,CTで左上腕動脈瘤と上腕動脈閉塞を認めた.上腕動脈瘤と急性動脈閉塞と診断した.左腋窩の皮膚は松葉杖の使用で荒廃しており,創部感染を危惧して瘤切除は断念し,瘤近傍で動脈を結紮し空置とした.左上腕動脈血栓摘除術ならびに動脈瘤空置,左腋窩―上腕動脈バイパス術を行った.上腕動脈瘤はまれな疾患であるが,本症例は年余にわたる松葉杖使用による慢性外力が動脈瘤形成に関与し,瘤内血栓の遊離により急性動脈塞栓症をきたしたものと考えられた.