抄録
症例は90歳,男性.38度の発熱を主訴に当院内科を受診し,胸腹部CTにて両側肺炎を認め入院となった.肺炎は速やかに軽快したが,入院9日目に再び39度の発熱を認めた.腹痛はなく,腹部所見も乏しかったが,胸腹部CTにて腹腔内遊離ガスと回盲部付近に高吸収域の異物像を認めた.入院時のCTと比較すると,その異物像は左下腹部から回盲部付近に移動しており,義歯が紛失していたことから義歯による消化管穿孔,腹膜炎を疑い,同日緊急腹腔鏡補助下手術を行った.Bauhin弁から約10cm口側の小腸に直径7mmの穿孔が存在し,腸液の流出と回盲部周囲膿瘍も認めたため,回盲部切除術を施行した.義歯は突出した爪様の形態で,盲腸内へ移動していた.術後重篤な合併症は発生しなかったが,術前より存在した嚥下障害が改善しなかったため,中心静脈栄養ポートを留置し,術後39日目にリハビリ目的で療養型病院へ転院となった.