抄録
症例は32歳,男性.胃痛にて近医を受診.腹部超音波検査にて膵体尾部に接する嚢胞を認め,当院に紹介された.腹部CTにて後腹膜Treitz靱帯の尾側に境界明瞭な45×38mm大の嚢胞性病変を認めた.境界明瞭で壁の不正や壁在結節は認めなかった.腹部MRIにて同病変と主膵管との交通を認めなかった.腹部超音波検査所見では体位変換により容易に移動した.以上より腸間膜嚢胞と診断し,腹腔鏡下腸間膜嚢胞摘出術を施行した.鏡視下に観察すると,空腸起始部に45mm大の腸間膜に覆われた腫瘤を認め,腸間膜後葉から剥離し嚢胞を完全に摘出した.病理学的に嚢胞壁は線維性間質からなり,上皮細胞は観察されなかったため,腸間膜仮性嚢胞と診断した.腸間膜仮性嚢胞はまれな疾患であり,腹腔鏡下に切除した本邦での報告は自験例で5例目である.その治療は完全切除であり,腹腔鏡手術は利点を生かした有効な手技と考えられた.