抄録
症例は36歳の女性.左下腹部痛を主訴に当院を受診.診察所見上,左下腹部に圧痛と筋性防御を認めた.血液検査上,血清CRP値および白血球数の上昇を認めた.腹部CT検査にて,子宮の左側腹側に脂肪成分とほぼ同等の吸収域を呈し,膀胱を圧排する径77mm大の腫瘤を認めた.経腟エコー検査でも同様の腫瘤を認め疼痛部位と一致したため,左卵巣成熟嚢胞性奇形腫または左卵管脂肪腫の茎捻転を疑った.しかし,原発部位が特定できないことから外科と婦人科合同で緊急腹腔鏡下手術を施行した.腹腔鏡検索にてS状結腸腹膜垂原発の有茎性腫瘍が捻転していることを確認し,腹腔鏡下に腫瘍を切除した.腫瘍は病理組織学的検査で捻転による循環障害を伴う脂肪腫と最終診断された.腹膜垂原発腫瘍や腹腔内脂肪腫茎捻転についての報告例は少なく,術前に原発部位を特定することは困難であったが,腹腔鏡下手術は発生部位の診断や手術侵襲の軽減に有用であると考えられた.