日本臨床外科学会雑誌
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症例
Adachi III型腹腔動脈異常を伴う胃癌の1例
鎌田 泰之山田 理大山本 道宏原田 英樹山本 秀和財間 正純
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2018 年 79 巻 7 号 p. 1459-1462

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抄録

Adachi III型腹腔動脈走行破格を有する早期胃癌の症例に対して,腹腔鏡下幽門側胃切除術を施行したので報告する.症例は75歳の男性.胃体下部小弯後壁の早期胃癌の診断で,術前multidetector-row computed tomography(MDCT)を施行したところ,Adachi III型の腹腔動脈走行異常を指摘された.Adachi III型は腹腔動脈と上腸間膜動脈が共同幹を形成し,左胃動脈が腹部大動脈から独立して分岐するタイプである.手術は腹腔鏡下幽門側胃切除術D1+郭清を施行し,術中もMDCTと同様の血管分岐を確認した.術前MDCTにより膵上縁の血管走行を把握し,メルクマールとなる動脈とその神経前面の層をトレースすることで,安全に手術施行可能であった.

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© 2018 日本臨床外科学会
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