2018 年 79 巻 7 号 p. 1463-1468
(症例1)76歳の男性で,胃前庭部の腫瘍に対し幽門側胃切除を施行した.腫瘍は3×3cmの2型腫瘍で,micropapillary components (MPC)を伴った乳頭腺癌と診断された.術後4年3カ月無再発生存中である.(症例2)76歳の女性で,噴門から胃体上部の腫瘍に対し胃全摘を施行した.腫瘍は8×6cmの2型腫瘍で,micropapillary carcinomaと診断された.術後3カ月で肝転移・腹膜播種再発し,術後6カ月で死亡した.(症例3)69歳の女性で,食道胃接合部の腫瘍に対し胃全摘を施行した.腫瘍は7×5cmの1型腫瘍で,MPCを伴う腺癌と診断された.術後4年無再発生存中である.MPCを伴う胃癌の報告は比較的少なく,その頻度・特徴・治療成績は報告者により様々である.その臨床病理学的特徴を明らかにするためには,正確に診断され,集積される必要がある.