抄録
症例は45歳,男性.検診で肝機能障害を指摘され近医を受診し,腹部超音波検査で8 cmの肝腫瘍を認め当院にて精査を行った.HBs抗原とHCV抗体は陰性でAFPとPIVKA-IIは著明に上昇し,画像検査でfibrolamellar hepatocellular carcinoma(以下,FLHCCと略記)を疑い,肝S5/6亜区域切除を施行した.病理組織学的には,索状構造をとって増殖した腫瘍胞巣が密で厚い層状の膠原線維束に取り囲まれたFLHCCに特徴的な所見であった.腫瘍マーカーが漸増し左肺上葉に増大する単発性の小結節を認め,術後22カ月に肺部分切除を施行し病理組織学的にもFLHCCの転移と診断した.現在は新たな再発を認めず,初回術後50カ月の生存を得ている.FLHCCは通常の肝細胞癌と異なる臨床病理組織学的特徴を持つ稀な原発性肝癌であり,積極的な外科切除が奏効した1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.