日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
肝切除後の早期肝内多発再発に肝動脈化学療法が著効をみた肝細胞癌の1例
佐々木 量矢坂本 俊樹松井 聡斎藤 節
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 79 巻 7 号 p. 1506-1512

詳細
抄録
61歳,男性.未治療の慢性B型肝炎があり,高血圧にて通院中の近医よりAFP高値のため紹介となった.精査にて,肝硬変に加え肝S4に門脈左枝と接し一部は内腔に突出する肝細胞癌(cT1N0M0)を認め,肝左葉切除術ならびに胆嚢摘出術を施行した.病理検査では,中分化型を主体に低~未分化型成分を混ずる単純結節型肝細胞癌と診断された(pStage I).術後に低下した腫瘍マーカーが術後5カ月目に急上昇し,残肝全体に動脈血流が豊富な多発再発腫瘍が確認される一方,肝外転移は認められなかった.肝動脈化学療法を選択し,シスプラチンと5FUを持続投与したところ著明な効果が得られ,2回目の投与後には腫瘍マーカーは正常化し,再発腫瘍の消失をみた.その後のエンテカビル投与によりHBV DNAは陰性化した.本症例は,現在までの術後約9年間,追加の抗癌治療なく無再発にて経過しており,若干の考察を加えて報告する.
著者関連情報
© 2018 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top